佐藤貴治(東京都大田区在住)

株式会社HC
設立:2013年8月
住所:東京都大田区東馬込2-6-6
    町田市中町3−10−6COMMUNE BASE マチノワ
事業:金融商品仲介

理想の経営者像を求めて
佐藤さんが生まれたのは北海道の音威子府(オトイネップ)。国鉄の技術者だった父親が深川、川上、旭川と道内を転勤していたため、一年半のサイクルで転校を繰り返す少年時代を過ごしたようだ。父親が国鉄の民営化に伴いJR東日本勤務となり、小学生の頃に大船駅に近い横浜市の笠間に移り住む。地元の小学校、中学校では野球を高校では柔道部に所属していた。中学の成績はそこそこ良かったらしく県立の進学校に進む。秀才が集まった学校で佐藤さんは勉強についていけず落ちこぼれ、勉強にもスポーツにも熱が入らない悶々とした高校生活を送った。大学進学を目指すが、志望校への進学が叶わず二浪。そして、家の近くにあった大学に入学するが、バイトで稼いだ金でバーやクラブでの飲み歩きを繰り返し、2年で中退している。
その後、靴屋や麻雀店などのアルバイトを転々とする。こんな生活を続けていてはダメだ、やり直そうと決意し、友人と二人でセレクトショップを起業するが、事業に失敗し会社は倒産。30歳の時だ。スーツ姿のサラリーマンへの憧れみたいなものもあり、人生で初めて就職活動をする。そして、ハローワークから紹介された三井住友海上火災の研修生になる。研修生制度は損保代理店として独立したい人を研修生として雇い、保険販売の実践的なトレーニングを実施し、独立を支援する制度。ここで佐藤さんは町中を這うような飛び込み営業や社労士などを講師に招いたセミナー営業をバンバン企画して、同期トップクラスの営業成績を収める。飛び込み営業で話を聞いてくれる人は百人に一人、その中で成約に至るのは三人に一人だそうだから成約率は300分の1。高い営業成績を上げた佐藤さんのこの仕事に懸ける意気込みと努力がうかがえる。上司からは「真面目そうに見える」から損保の営業には向いているとも言われたそうだ。満たされない気持ちで生活を送ってきた学生時代も先が見えなかったアルバイト時代でも人を裏切ることも弱い者いじめすることもなく、ただ実直に生きてきた。小さな頃から養われてきたそんな生真面目な生き方が最後は佐藤さんを助けてくれたのだろう。
研修員の3年間を終えて、生命保険の代理店に役員として迎えられる。その後、株式会社HCを設立している。経営者として一流になろうと異業種交流会や勉強会に積極的に参加するようになり、いろいろな人に出会ったそうだ。立派な人もいたが、中小企業経営者の裏の姿を見て絶望的な思いになったことも度々あったという。そんな中で救われた気持ちになったのは理念と経営研究会で出会ったオンザウェイの野中社長との出会い。会社の理念や社員のことを本気で考えている姿に感動したし、理想の経営者像を見た思いだった。
今の目標は、子育てとの両立に悩む多くの女性のために働く場を創りだすこと。今年から少しずつだが、そうした女性達を雇用していく予定だ。少子化が進む中、女性の社会進出は緊要な課題。一人の経営者としてそれが社会への恩返しでもあり責務でもあると佐藤さんは考えている。理想の経営者像を求める佐藤さんの旅はスタートしたばかりだ。