東井満雄(座間市ひばりが丘在住)

有限会社あづまい工務店
創 業:1977年
所在地:座間市ひばりが丘2丁目53番6号

岩手県九戸村の葉タバコやケチャップ用トマトを生産する農家の6人兄弟の5番目に生まれました。小さな頃から芝居や歌うことが好きで、地元では目立っていましたね。中学を卒業して二戸にあった職業訓練校で1年間木工を勉強しました。建具や家具の勉強です。そして、東京にあった東京建具商業協同組合に就職します。14時間も汽車に揺られて上野駅に着いたのを覚えています。月給は7,951円で二人部屋の寮生活でした。でも、建具工場での作業が性に合わず、屋外での仕事がしたくて1年半で転職します。上京していた6歳上の姉の紹介で、向島にあった工務店に入りました。親方の自宅の二階に住み込み、月給は1万円でした。
ここから大工修行が始まります。仕事は柳橋にたくさんあった料亭の修繕が多くて、面白かったですね。ここには10年位いました。最初は材木の刻み、3年目で墨付けを任されます。墨付けまで5年かかると言われていましたから、覚えは早かったと思います。腕も上がり、8年目位からは独自に仕事を請け負うことも多くなりました。また、左官、塗装、水道、瓦、電気といった職人さん達とのネットワークも広がっていきました。大工の棟梁は職人の手配とスケジュール調整も大事な仕事です。家が完成するまでに15人ぐらいの職人が関わりますから、優秀な職人とのネットワークを持っていなければ仕事にならないんです。
座間に住んでいた都内の高校の先生の自宅を修繕したことが縁で座間市内に住まい兼作業場を設けます。親方の元を離れ、座間で「あづまい工務店」を立ち上げます。27歳の時です。独立当初は何でもやりました。都内の店舗や飲食店の改装もずいぶんやりましたし、工務店から大工仕事を請け負う手間請けもやりました。ある時、職人仲間の紹介で1,000戸を超える大規模なマンションの一室の修繕を頼まれます。その工事が評判になり、マンションの住民から次から次へと工事を頼まれるようになります。これで仕事には困らなくなりましたね。今までにそのマンションだけで130戸以上もやっています。こんな風に工事の依頼は知人やお客様から広がっていきました。
心がけていることは、頼まれた仕事だけをやるのではなくて、お客さんにいろいろな提案をすること。茅ヶ崎にあった古民家の解体を依頼された時は、全面改修して、店鋪にすることを提案しました。今は焼き鳥屋と美容院に使われて繁盛しています。また、オーダーメイドの家具も提案します。こうしたところが普通の工務店と違うところで、我が社の競争力になっています。知恵とアイデアのある工務店なんです。
今までいろいろと変わった現場を経験してきました。例えば、8畳しかない超狭小住宅を改修して焼き鳥店にしたこともありました。月島にあったメゾネットタイプの小さな長屋を店舗に改修したこともあります。面白そうな現場が好きなんで、普通の工務店が避けるような案件が回ってくるんですよ。また、数年前から無垢の木材を使った工事をよくやるようになりました。古民家の改修、小さな音楽ホール、マチノワと。マチノワは地元の山で間伐された木を自然乾燥させ、それを現場で加工して壁、ブース、テーブルを作りました。面白かったですね。今後も地元で産出される木材を使った内装や家具作りをやっていきたいですね。