長崎 克央(相模原市東淵野辺在住)

有限会社創夢設計 http://www.som-ad.com
経営理念:顧客の夢を深く理解し、それを共に創造する
スローガン:謙虚、愛情、挑戦
創業:1991年
所在地:相模原市中央区矢部2−7−36

◌起業まで、起業から
明治大学の建築学科に在学していた頃から建築家として独立しようと考えていました。その準備の意味もあり、20歳代は「振幅の大きい経験」を積むことを意識しました。卒業後は父親の建築事務所で2年、バングラデシュで青年海外協力隊を3年、東京大学駒場キャンパスの教養学部で助手を2年、槇総合計画事務所を3年と経験を積み、その間にはアジア、アフリカ、ヨーロッパを長期にわたって旅をしました。インドとバングラデシュで見たコルビジェ・ルイスカーンの建築に近代建築の可能性を再発見すると共に、各地の民家から建築の原点を感じました。
父親の引退を機に相模原に戻り、創夢設計を起業します。32歳の時です。社会的に意義がある規模と内容の仕事がしたくて、一人ではなくそれまでに縁のあった三人でスタートさせました。意気揚々と起業しましたが、現実は厳しく、悶々とした時期が続きます。父親の代のお客さんからの注文で何とか凌いでいた時期が数年あったでしょうか。
契機となった一つは相模原商工会議所の青年工業経営研究会に入会したこと。ここで経営の機微を学び、地元企業との人脈もできました。そして、複数の公共事業とさがみはら産業創造センター(SIC)の建築コンペで選ばれたこと。インキュベーションセンターであるSICのコンペは、地元の産業を知り、様々な経験をして来た自分にとっては絶好のチャンス。「コンペに落ちたら建築を辞める」と背水の陣で臨みましたね。このコンペ当選で相模原、町田を中心に工場、商業施設、教育施設、個人住宅と幅広い分野の建築を手がけることになっていきます。

◌今、力を入れている仕事
地元の木材を建築などで利活用することです。これまでは、地元の木材に縁はなく、一般的に流通している国産材や外国産の合板や集成材を使っていました。
林業家の佐藤好延さん(サトウ草木)と出会ったことで、地元の木材を少しずつ使うようになりました。3年程前に相模原市篠原に古民家を買い求め、地元産の木材を使いながら、リフォームをなるべく自分でやっています。自然乾燥させた木材のクセや建築に使う勘所が判ってきましたから、より積極的に使うようになりました。相模原市の西門にある「にしもぐらホール」や生活介護事業所「銀河」では地元材をふんだんに使いました。
地元の木材を身近な場所で消費する。今後はそんなサイクルを作りだすことに力を注いでいきたですね。豊かな森林を持つ相模原に生まれ育った建築家の責務だと思っています。

◌私の未来
どんな仕事にも気力と体力が必要です。還暦を過ぎ、体力の衰えを感じ始めていますが、木工は頭を使いつつ体力を適度に維持させながら、幾つまでも続けていける作業です。木工作業をしながら死んでいきたいですね。ピンピンコロリと。