西行 恵 / らぶ♡ふぁみ事務局
( 町田市中町在住 )
子育てフリーマガジン「らぶ♡ふぁみ」

ご両親は北海度の札幌市と八雲町の出身。東京の蒲田で西行さんを出産し、西行さんが小学生になる時、家族で北海道に戻っている。西行さんは小学校の時に和太鼓に出会い夢中になる。中学校には和太鼓クラブが無かったので地元商店街の協力も得て「麻生太鼓」というクラブを自ら立ち上げている。トラックに太鼓を積み込んで広大な玉ねぎ畑の真ん中で毎日のように練習していたそうだ。午前、午後、夜間と三公演した日もあったし、年間100公演した年もあったそうだ。演奏だけではなく和太鼓の作曲も手掛けている。それは両親の影響が大きいようだ。両親とも都内にあった音楽学校を卒業し、長門美保歌劇団で活躍していたが、父親は西行さんが生まれたのち現役を退いている。今は子ども達が独立し、夫婦二人で暮らす自宅を改造した小さな音楽ホールや札幌市時計台ホールで音楽活動を楽しんでいるそうだ。

西行さんは和太鼓や両親の舞台活動に触れる機会が多かったので舞台の仕事を目指した時期もあったが、「食べていくために手に職を付けなさい」という父親のアドバイスもあり、保育士を目指し札幌の短大に進学する。卒業後は病気を抱える子どもをケアする保育士を目指し、病院内保育園を運営していたポピンズに入社する。最初の配属は世田谷区三軒茶屋にあった保育園。ここでの5年間はポピンズが大きな企業になる途上で、保育の仕事はもちろんのことISOの取得など多くのことを学んだ。

次に選んだ仕事はブライダル。新横浜にあるグレイスホテルに入社する。グレイスホテルのブライダル部門は総勢20名。西行さんは招待状の作成から結婚式の企画演出、実際の運営までトータルにケアするコーディネーターとして活躍する。新郎新婦やご両親にとても喜ばれ、やりがいを感じる仕事だった。30歳になる前にどうしても子どもが欲しかったので退職を決意する。コーディネーターとして常時20組ぐらいのカップルをフォローしていたし、ベテランになり難しい案件を任されるようになっていたので、この職場で出産、育児休暇、職場復帰という将来を描くことは難しかったのだろう。

28歳で退職して、直ぐに男の子をそして二人の女の子に恵まれている。専業主婦として3人を育ててきた。退職後は子育てをしながら生活クラブ生協や町田市生涯学習センターでいろいろなことに取り組んできた。生涯学習センターの家庭教育支援学級では、食育、離乳食、教育、防災などの講座を仲間と一緒に企画し運営してきた。そんな仲間とともに子育てに関するフリーマガジンを創ることを考えるようになる。

子育ては結構しんどいもの。育児に追われ自分の食事はいつも後回し。昼間は自宅で自分と子どもだけ。友人やママ友に子育ての悩みや愚痴を話せたらずいぶん気分が楽になるのにと思う。でも、子どもを連れてママ友とゆっくり食事やお茶をするお店を探すのが大変だった。そこで、生涯学習センターで出会った仲間と途中から加わったメンバー5名で子どもを連れて入れる飲食店、電動で子どもを乗せられる自転車を留められる駐輪場、授乳室や子どもトイレなどの情報を掲載した町田限定の子育てフリーマガジン「らぶ♡ふぁみ」を2017年9月に創刊させる。取材、編集、広告集めと5人で16ページ4000部の冊子を完成させる。その後も制作を続け2019年9月には24ページ12000部の第5号が発刊されている。

子育て中のママが本当に必要としている情報を発信している「らぶ♡ふぁみ」は町田の地に不可欠な存在となりつつある。この冊子を評価する企業や団体から子育てに関するイベントの企画運営などのオファーも多数寄せられている。この冊子を核とし、町田に住む子育て世代を応援する活動がますます大きく広がっていきそうだ。          

(インタビュー・文/マチノワ 山本 満)