高松幸子(相模原市緑区在住)

くらげ雑貨店 http://kuragezakka.com
開業:2012年

○起業まで
ちいさな頃から学校生活での集団行動が苦手で、「どうやったら学校を休めるか」を毎日考えているような子どもでした。看護婦を目指して看護科に進んだり、インテリア学科のある専門学校にも通いましたがどれもものにはならず。そんな中、「なんとなく楽しそう」と始めた地元の商業施設での接客のアルバイトがとても楽しくて、惜しくもお店が閉店するまでの3年間、仕事を続けることができたんです。この経験から、これまでいろんなことを途中で投げ出していた自分に少し自信を持つことができました。
その後「雑貨デザインアシスタント募集」の貼紙に食いついて、ブライダル雑貨を制作する会社に入社しました。担当は主に結婚披露宴で使うウェルカムボードの企画・デザインでした。この仕事を通してデザインや材料の仕入れなどを学び、「いつか自分のお店を持てたらいいな」とぼんやり考え始めます。
次に1年間、さがみはら産業創造センターの地域活性化プロジェクト室で地域紹介の冊子制作などの広報担当として働きました。ここに集まった若手デザイナーや経験豊富なスタッフから多くのことを学びました。また、たくさんの起業家に接し、起業を身近に感じるようにもなりました。それが大きな転換をするきっかけとなり、これまでぼんやりとだった自分の夢を実現させる決心をして起業に向けた活動を始めたんです。

◌起業から
まずはたくさんの方にアドバイスをいただきながら事業計画書を作成、それを相模原市が実施している「チャレンジショップ認定制度」に応募しました。緊張のあまり涙目の状態で声を震わせながら10名以上の審査員の前で臨んだ2次審査のプレゼンを経て見事、入選。このことが起業への大きな自信につながりましたね。また、致命的に苦手な数字のことも起業する上では避けては通れないので、簿記検定講座に通って必死に勉強しました。
夢だったハンドメイド作品の材料販売やワークショップをする小さなお店を開業することを目指して、次に行ったのは実際に「モノ作りカフェ」を経営されている「みちくさアートラボ」オーナー椎名さんの下で働きながら修行すること。ワークショップの運営やお店の経営について惜しみなく教えてくださる椎名さんのおかげで、店舗運営についてたくさんのことを学ばせていただきました。
その経験を踏まえて、当面は店舗を持たずに出張形式でハンドメイドワークショップを開催することに。屋号を「くらげ雑貨店」として2012年秋に開業しました。この「お店を持たない」という選択は、「お店を持つ覚悟や度胸が自分にはないのか」と、とても悩みましたが、結果的にはこの判断が自分の性格にはあっていたのだと思います。家賃や光熱費などの固定費を抑えることで、焦らずに自分のペースで事業を少しずつ広げていくことができています。ワークショップの開催に当たっては、相模原市東林間のコミュニティスペース「はこの和」さんや、相模大野のカフェ「naruco cafe」さんを会場としてお借りして、回を重ねるごとに少しづつお客様が増えていきました。開業3年目あたりで企業様からのお問い合わせ・ご依頼がくるようになり、今では様々な商業施設でお客様にハンドメイドを楽しんでいただくワークショップを年間20回以上開催しています。2016年には日本ヴォーグ社より「本物お花のUVレジンアクセサリー」という、ハンドメイドアクセサリーの作り方をご紹介した書籍も出版させていただくことができました。

◌これから
最近ではハンドメイド講師の経験に基づくワークショップ運営のアドバイスや、企業様の新商品の開発支援や販促支援など、くらげ雑貨店がこれまで培ってきた知識や経験を活かせるお仕事のご依頼が増えてきて、ハンドメイドが貢献できる可能性の大きさを感じてわくわくしています。
そして将来は必ずお店を持ち、そこに集まるみんなの人生が豊かになるようなこと、ハンドメイドだけにとらわれずに楽しいことは何でも!ご提供していきたいと考えています。